貧乏旅行記がぶっとんでいるつげ義春先生の人生そのものが漫画であり小説

貧乏旅行

貧乏でも金持ちでもない中途半端なランディーです。
こんばんは。

つげ義春氏は知れば知るほど浮世離れしているというか
修行僧というかもうそうれは神がかっていらっしゃいます。

氏の現在の年収は100万くらいと聞きます。
奥様を十数年前になくし、統合失調症の息子さんのお世話を
しながら暮らしていらっしゃいます。

印税の足しに皆様つげ義春作品をアマゾンでもお近くの書店でも
よいので是非お買い求めくださいませ。

つげ義春氏の生い立ちと半生

1937年10月30日生まれの2016年現在79歳。

板前の父、飲食の商売をする母、幼少期は割りと裕福だった。
しかし幼稚園の頃からもう自閉症的気質はもっており
集団生活になじめない人だった。

5歳で父を病気で亡くす。母軍需工場に勤め母と兄弟3人の
4人で四畳半暮らしとなる。

戦争経験⇒母としけモク拾い⇒母再婚義父最低DV男?
義祖父は泥棒家業。
義春氏、セルロイドおもちゃやアイスキャンディーの
売り子を経験。小学校卒業でメッキ工場の見習い工。

15歳でニューヨークへの船での密航に失敗。海が好きで船員に
なることを夢見ていた。18歳で漫画家デビュー。

破滅的な暗さと絶望感、虚無感がつげ作品の魅力だが
大衆に受け入れられず苦戦。赤面恐怖症であいかわらず
人と会うのが怖い。

漫画を描くことに身が入らず生活が困窮して
血液を売る。

25歳睡眠薬で自殺を図るも失敗。
28歳ごろから井伏鱒二に傾倒して旅に夢中になる。

30歳ごろから一部のマニアには支持されるようになる。
31歳のときの「ねじ式」が社会現象に。

ジャンプやサンデー世代のランディーがねじ式を読んだのは高校生の時。
「今日から俺は!!」などのヤンキー漫画を暇つぶしに読んでいた程度で
漫画に疎かった私は「ねじ式」にというよりも
それを貸してくれた友人の感性に衝撃を受けた。

↑映画にもなった「ねじ式」「ゲンセンカン主人」などが収録
されている。

そんなこんなでつげ先生の人生を振り返っていたら終わらない
のでウィキペディアを参照されたし。

貧乏旅行記の冒頭がいきなり常軌を逸している

昭和43年初秋。氏の漫画ファンであるという2、3度手紙を
やり取りしただけのバツイチで看護婦をしている女性に
結婚するために会いに行く。

「どんな人かなァ」と私は想像してみた。
「ひどいブスだったら困るけど、少しくらいなら我慢しよう」
と思った。

新潮文庫 新版 貧困旅行記p10

離婚をした女性ならば気が楽できっと結婚してくれるだろうと
いう何の根拠もない予測のもと20万円ちょっとの有り金と
時刻表をポケットにいれて東京から新幹線で九州を目指す。

これは小説ではなく紀行文であります!
昭和40年代から60年代にかけてつげ氏自身で取られた
写真がぱらぱらと乗っています。数点イラストも拝むこと
ができます。

九州道中、名古屋で紀勢線に乗り換えて三重松坂で一泊。
翌日大阪に行き九州行きの列車の発車時刻を待つ1時間の
あいだに

「やっぱやめようかな」
と九州に行くのを迷う氏なのであった!?

奇想天外な行動力を持つ男はいとも簡単に
真逆に舵を取る。

小学生のキッズ達って前向いて歩いていたらいきなり
振り返って向き変えてこちらに突進してきたりして我々をおじ様を
びっくりさせますよね。

あれと似たようなところがあって、氏はそういった子供心を
手放さないで現在も生きている御仁であると私は思います。

はたして九州へは到達できたのでしょうか。
これはあなた様に是非読んで確認してほしいので結末は
いいません。

けれども氏は見るもの見るものにまるで子供のように目と
思考を奪われ、その場その場で大胆に行動を決定しています。

凡人がこれを真似るとにっちもさっちもいかなくなりますが、
氏はそれを芸術に昇華させることができますし生き方そのものが
アートであります。

つげ義春氏の夫人藤原マキさんは芸術を愛でる女性

マキさんは唐十郎氏主宰のアングラ劇団で活躍なさっていました。
1975年に二人は結婚します。できちゃってうまれちゃった婚です。
38歳と34歳。当時にしてはかなりの晩婚ではないでしょうか。

貧乏旅行記の中の奥多摩貧行で奥さんとのやり取りを読むことができる。
1985年。義春氏48歳、マキさん44歳、息子さん10歳。

息子さんにせがまれゴールデンウィークに東京都本州唯一の村である
檜原村へと出かける。

宿屋を予約する習慣のない氏であったが、連休中ということで
国民宿舎を前もって予約する。

貧乏が染み付いている氏ですらわびしさを感じるような宿に親子
3人で泊まる。粗末な夕食を皆でおかわりする。
小さくて汚い風呂に3人一緒に入る。

誰も悪いことをしていないのに家族全員罰ゲーム。

次の日氏は帰宅しようとするのだか二人に奥多摩に行こうと
言われて仕方なく小旅行を続ける。近場で2泊もしたくなかったのだ。

2泊は想定外だったのでもちろん予約しておらず、夕方になっても
宿は決まらなかったが人の助けも借りてようやく青梅街道沿いの
五州園という割烹旅館に泊まることになる。

6000円以上の宿に泊まったことがない3人の狼狽振りが
痛々しく切なくなります。

逆引き寄せの法則を地で行くつげ義春氏

漫画家時代は電話をひいておらず居場所も分からなくなるため
連絡手段は雑誌からの呼びかけであったりしました。

特定の人とつるんでいなかったので連絡の取りようが
なかったのでしょう。つまりこちらからも人を頼らない。
どれだけ困っていたとしても。

寝る前に悲観的なことを夢想する癖があったり乞食願望
があったり。

幸福でないものを自分に引き込もうとする節が見られます。
悪いもの引き寄せの法則を利用しているようです。

ただその気質が作品にペーソス満載で得体の知れない味わいを
与えているに違いありません。

そしてそれは人間が誰しも持っている心の奥底にある
決して解消されることのない不安を言い当てて
いるような気がします。

その中にも外にも向こうにも救いはありません。
しかしそのど真ん中にあえて身をおき、
出来る範囲でじたばたし日々を淡々粛々と
過去に追いやることが彼の願望でもあるような気がするのです。

何か宗教的な神々しさを感じてしまいます。

一方世界の大富豪の大豪邸はこちら


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ランディーのプロフィール

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アラウンドフォーティーな自由人。 バツイチ子無し独身、一人暮らし。 子供は好きだがこれから育てようとは 思わない。よって再婚はない。 残りの人生をダンディーに楽しむのみ! 趣味はテニス、ピアノ、エレキベース。 いずれもど下手なので愉しみがいがある。

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